米原市伊吹地域では、在来種「伊吹そば」を使った地域おこしに取り組んでいる。伊吹そばの栽培は平安時代後期から鎌倉時代にかけて始まったとみられ、山岳信仰の山として知られる伊吹山では多くの修行僧が五穀断ちを行い、食料確保のためだったと言われている。伊吹山の中腹に位置し、今では幻の天空の里となった「太平寺」には真っ白なそば畑と琵琶湖を望む絶景が広がっていたという。その様子は、1600年代の絵図に残され、その絵図が伊吹そばのパッケージデザインとして使われている。
2019年、伊吹そばが伊吹地域にしか存在しない在来種として農林水産省に正式に認められGIを取得した。これは近江牛に続く滋賀県二例目とのこと。伊吹そばを栽培、販売しているブレスファーム伊吹が、この美味しい伊吹そばの味を多くの人に知ってもらいたいと、2020年4月「蕎麦の里 伊吹」をオープンする。
その代表の伊富貴さんは、サラリーマン時代の営業の経験を生かし、精力的に販売促進を行っている。歴史の名にあぐらをかかずに、純粋に美味しいそばを作りたい。また、伊吹そばと同等に有名なのが、強い辛味が特徴の伊吹大根。店の一押しはその伊吹大根を使用したおろしそばだが、そば本来の香りを楽しんでもらうために、まずは塩だけで味わって欲しいという。伊吹そばは、ほかとは違う甘みが特徴で、一流店からの評価が高く、視察に訪れる料理人も多いそうだ。
地元で栽培した在来種のそばを使用、お店のスタッフも地元の人が集まり、全てが地元産。食べてもらえれば、その美味しさは必ず伝わるはず。伊吹がそばの里をして知られるように、美味しいそばと、地元野菜や山菜を使った料理を提供したい。
ブレスファーム伊吹では、農作業を仕事として一緒に働きたい人を募集している。本業の空いている時間を有効的に使って手伝っている人もいるそうだ。自分から周囲に話しかけ、地域に溶け込む気持ちのある方にぜひ来てもらいたいと話してくれた。