地球から溢れだす水がつくる姉川。深い森の奥、ケモノだけの世界で静かに生み出される水からはじまる姉川は、動物の、植物の、ヒトの命の源となり、全ての者を凛としなやかに育て上げる。雪深いことも、山が嶮しいことも、この川を形成するためのものだとするのなら、よろこんで受け入れられる。米原の根源を、びわ湖の素を成す大動脈なのだから。
霊仙山に源を発する天野川。川沿いの集落・世継と朝妻に言い伝えられている七夕伝説。天野川と呼ぶようになったのは伝説の所以だとも言われている。夜空に輝く天の川と同じ名をもつこの川の水面には、夏になると星のように輝くホタルが舞い、まるで川が銀河行きのレールになって宇宙旅行に誘っているように感じる。
醒井の七湧水を源流にする清流、地蔵川。昔から水の清らかな醒井には、七湧水と呼ばれる清水が今もこんこんと湧き出している。ヤマトタケルノミコトが傷を癒したとされる「居醒の清水」をはじめ、「十王水」「西行水」「天神水」「いぼとり水」「役の行者の斧割水」「鍾乳水」。地蔵川に息づく、小さく愛らしい「梅花藻」、絶滅が危惧されるトゲウオ科の魚「ハリヨ」はともに清流の証。