米原で「こはら農園」を営む小原将矢さんは、Uターン組。 地元の大学を卒業後、名古屋の会社で営業マンとして3年半働いた。名古屋では、一人暮らしをしながら、月に1〜2回週末に実家のある米原へ帰り、田植えを手伝ったり、地元の友達と遊んだりしていた。大学時代から山や海で遊んでいたアクティブな小原さんは、次第に地元米原で暮らしたいと思った。
地元で暮らす手始めとして、少しずつ職探しをしてみた。少し時間をかければ見つかるだろうと思っていた小原さんだったが、職探しを進めれば進めるほど、自分にマッチした仕事がないことを知った。そこで、一念発起し「自分に合う職がないなら自分で始めよう。」と決心。農業を志すことにした。滋賀県立農業大学校や就農セミナーで勉強して、一年後に開業した。
農業大学校や就農セミナーで得た知識を元に、イチゴをメインに、米原市の特産品である金太郎マクワ、ブロッコリーを作ることにした。農業は日々研究だと話してくれた。作業時期の少しのズレや肥料濃度の少しの違いで成長や味に直接影響がでる。特に始めたての頃は苦労が多かったらしい。相手にしているのは自然なので、効果を確認できるチャンスは年に1回しかない。毎年が勝負なのだ。その為、学んできた知識では答えがない現実がたくさんあるそうだ。
大変な世界に身を投じた小原さんだが、とても楽しそうだ。元来自分で試してつくることが好きなようで、何でも自分で決めて動ける今の仕事は、サラリーマン時代にはないやりがいと楽しさを感じているとのこと。冬とても寒い米原の気候については「他の地域に比べてとびっきり甘いイチゴが育つ最高の肥料」と笑顔で話してくれたのが印象的だった。
開業して1年が過ぎた小原さん。忙しくて中々大好きなスノーボードに行けてなかったらしいが、農家の時間配分にも慣れてきたようで、これからは時間を見つけて存分に楽しんでいくと話してくれた。隣にいる農家の先輩が「それ農家の特権だから!」と笑い合っていた。