世界有数の"古代湖"として知られる琵琶湖。その誕生は、今から約4百万年前にさかのぼり、歴史の古さは「バイカル湖」や「タンガニーカ湖」に次ぐ世界第3位。日本で最も大きい湖で、その広さは滋賀県の1/6をほこる。自然のダイナミズムがつくり上げた様は、まさに神秘。歴史を辿ってみても、様々な数値を探ってみても、そこには日本随一のスケールがある。
天野川が琵琶湖に注ぐあたりには「朝妻湊」という港が築かれ、古代より東の国からの物資の集積地として多くの人やモノが行き交った。さらに、多くの歌人が琵琶湖の歌を詠み、想いを馳せた。万葉歌人・高市連黒人(たけちのむらじくろひと)は琵琶湖に浮かぶ「烏帽子岩」を見て、「磯の崎漕ぎ廻み行けば近江の海 八十の湊に鵠多(たづさは)に鳴く」と詠っている。
琵琶湖には、ビワマスやビワコオオナマズといった固有種をはじめ、フナ、コアユ、エビ、マス、シジミなどの魚介類が生息しており、昔から沿岸の人々は農業の傍ら漁業を営んできた。今日も湖の恵みを求め、漁師たちが船を出す。琵琶湖は、私たちにとってなくてはならない恵みをもたらす場所でもあるのです。