醒井の旧中山道沿いにせせらぐ地蔵川は、初夏になると水中に咲く梅花藻を見にたくさんの観光客が訪れる、知る人ぞ知る米原市の観光スポット。地蔵川の水はどこまでも透き通る湧き水で、ヤマトタケルが伊吹山の神と戦い、その傷を癒した名水「居醒の清水」として古事記や日本書紀に記されている。
その地蔵川のほとりに、築100年を越える古民家をリノベーションしたゲストハウス「居醒庵」がオープンした。オーナーの今村さんは、岐阜県でビーチサンダルの製造販売を営む傍ら、古い街並みや歴史が好きで、よく京都へ通ったという。京都へ行き来する車窓から見える米原の景色が気になり、実際に訪れた時、醒井の景観に惚れ込んだという。
それから度々足を運ぶようになり、この美しい街並みを保全し、古き良き建物を生かす方法を考えたいという思いから、古民家の購入に踏み切った。アメリカで暮らしていた経験と語学を生かし、インバウンドの観光客を中心に、誰もがふらりと立ち寄ってもらえる場所にしたいと話す。オープンスペースとして解放し、ボーっとしに来てもらえるだけもいいそうだ。
共にゲストハウスを運営するのは、店長の臼井さん。臼井さんもまた、岐阜から琵琶湖へ自転車で釣りに通う途中、同じように醒井の景観に魅せられたという。そして、明るくチャーミングなスタッフのサラと3人でゲストハウス「居醒庵」をスタートすることとなった。
今は、地方で暮らしながらも、インターネットを通じて容易に文化や情報にアクセスできる時代。そして、地元の資源をどのように生かすかを考え、小さく起業して大きく発信できる時代でもある。ここ醒井から世界へ、美しい景観と歴史や文化を発信していきたいと話してくれた。