リノベ事例紹介② ガラス作家・林さんのお家

子ども部屋でくつろぐ小学生の息子さん

楽しいアイデアにあふれる家

自宅の前でにこやかに笑う林さんご夫婦

7年前に米原市に移住された林さん一家は、ご夫婦と2人のお子さんの4人家族。ご主人はガラスのバーナーワークの作家さんで、ご自宅で日々制作活動やワークショップをされている。そんな林さんファミリーのお住まいは、楽しいアイデアにあふれている。ほぼ全てご主人の手でリノベーションされた古民家は、1階が住居スペース、2階がご主人の作品を展示するギャラリースペースになっている。さらに、同じ敷地に建つ蔵をガラス工房として活用されている。

明確な条件と念入りな下見

「田舎で自分たちらしく楽しく暮らしたい」という想いのもと、林さんは家探しの段階で家に求める条件を決めていた。①家族が安心して住めること、②自由にDIYできること、③日当たりが良いことだった。「物件探しにはいつも方位磁石を持ち歩いて、日当たりの確認をしていました。」と林さん。そして、気に入る物件がなければ移住もできないと考えていたところ、最後の最後に感性にふれる一軒に出会えた。そこから幾度となく下見を繰り返して、この家に決めた。林さんよれば「天気の良い時はどんな物件でもよく見えるので、あえて天候の悪い時に下見をすることも大切だと思います」とアドバイスしてくれた。

取材を受ける林さんご夫婦

掃除にも愛とアイデアを

大掃除の様子

家が決まって最初にしたのは大掃除。ここでも林さんのアイデアが光る。家財道具の処分時に無料の蚤の市を開いて古道具が欲しい人にリユースのバトンを渡した。「使えるものは使って欲しいという思いで企画しましたが、想像以上にもらってもらえました。」と林さん。結果的に処分にかかるコストも抑えられたようだ。1ヶ月にも及ぶ大掃除の末、ようやく家が綺麗になった。そこから本格的に間取りを考え、改修の工程を計画した。林さんによれば「余計なものがない空っぽの状態にすると、間取りや作業工程がはっきりしてくるのでおすすめです。」とのことだ。

アイデアと行動力で切り開く

林さんがDIYでつくった空間は、無垢材がふんだんに使われ雰囲気が良くてあったかい。一方で、気になるのは木材や道具のこと。話を聞くと、そこにもドラマがあった。改修当初、材料を何とか安く調達できないだろうかと近くの製材所に飛び込みで訪ねたところ、事情を知った社長さんが商品にはならないけど使える木材を分けてくれることになったという。さらに、製材所のお手伝いをしていた引退した大工さんとも仲良くなり、道具を貸してもらったり、大工作業を教えてもらったりしたという。「この出会いがとても大きかったです。」とは林さん。

リノベされたギャラリースペース

こだわりを突き詰める

居間にある今も使っている古いミシン

林さんがリノベーションで大切にしたのは、家が元々もっている風情や家に残されていた道具の活用。「中途半端になりそうな気がして、現代的なものを極力使いたくなかった。」と林さん。柱は、新たに塗装することはせず、ひたすら磨いて艶をだし、美しい木組みの構造を見せるようにした。さらに、残っていたタンスや鏡台は、そのまま生活の中で利用するようにした。林さんの言う通り、同じ時代を経てきた家と道具はとても相性が良く、空間に落ち着きをもたらしている。傍に置かれた年代もののミシンも実際に使っているとのことだが、絶妙に雰囲気を高めている。

信念を貫く

2台ある薪ストーブの燃料も同じ集落に住むおじさんと一緒に山で調達したり、道路の倒木を処分する代わりにもらったり、お世話になっている製材所の廃材をもらったりと、余計なコストがかからないようにしている。林さん曰く「賃貸で住んでいる家なので、家づくりのコストも生活コストもしっかり考えています。」とのこと。さらに、「DIYで家づくりをする場合、材料や道具の工夫次第でさらにコストを抑えることができます。」と教えてくれた。格好をつけず、等身大で家づくりに向き合うことで、奇跡のような出会いやブレークスルーがあるのかもしれないと感じさせてくれた。

薪が並んだDIYのウッドデッキ

ガラス作家・林和浩さん

ガラス工房YANEURA

概要
林和浩さんがオーナーを務める、伊吹山の麓で築120年の古民家をセルフリノベーションしたオリジナルのガラスショップ。
所在地
●米原市伊吹648
電話
●090-9997-0133
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文/写真

びわ湖の素編集部

びわ湖の素編集部は、ディレクター/デザイナー/カメラマン/ライターなどで構成されるクリエイティブチーム。自分たちが楽しいと感じ、人に伝えたいと感じることを大切にして、米原の魅力を発見し、体験し、発信しています。また、一緒に編集してくれる仲間を随時募集しています。