毎年、米原市高番の千福神社で開催されている千福夏祭。「子どもたちが大人になった時、海外に行った時、胸を張って自分の育ったまちを話せるようになって欲しい」という当時の区長さんの想いに賛同した、①地域に移り住んできた切り絵作家さん、②地元で子育てをしたいと京都からUターンしてきた音楽家とデザイナーのご夫婦、③長らく地元で建具づくりをしてきた木工職人さん、④地域住民に愛される服屋を営むご主人、で実行委員会が結成された。目指したのは、地域の歴史や文化を体感することができる祭り、学校の友達を誘いたくなる楽しくてカッコイイ祭り、子どもたちの記憶に自然と残り続ける祭り。
テーマは、“古くて、新しい祭り”。地域に古くから伝わるものをモチーフにして、新しい手法で表現したいと考えた。大切にしたのは、無理に背伸びをせず自分たちにできることを真剣に突き詰めることだった。切り絵作家さんと木工職人さんがタッグを組んでつくった「高御座」をモチーフにしたライトアップ。音楽家さんが創作した「おかるばあさんのねずみ石」の昔話と童話。デザイナーさんがつくったグッズやのぼり。実行委員会のメンバーがそれぞれアイデアと能力を活かして、祭りの基礎になる部分をつくった。
実行委員会メンバーがつくった祭りのベースの上に、地域の歴史を良く知る歴史家さんの講演、となりの集落で活動する和太鼓集団の演舞、服屋のご主人の声かけで参加したキッチンカー、地域住民さんが店番をする縁日がコンテンツとして乗った。会場は大盛況で、子どもたちがキャッキャ楽しむ声が響き続けていた。「祭りのある地域で育った子どもは大人になっても地域への愛着が強いと感じます。一旦は地元を離れることもあるでしょうけど、またいずれ戻ってきてくれるんじゃないかなと思いますね。なので、この祭りは未来への投資なんじゃないかなと思います。」と実行委員会の北川さんは話してくれた。