山も川も そして湖も 無垢。
山らしい美しいフォルムの伊吹山と、鈴鹿山脈北端に位置する霊仙山。雪解け水や雨水を地中深くに豊かにたくわえ、深い無垢の山奥で、冷たく澄んだ水を一定のリズムで時間をかけて生成しています。人が生活する里山から深い森の奥へ分け入れば、静寂が身を包み、冷たく凛とした空気が肌をさし、心や身体を内からキレイにしてくれる。「水のまち」と称される米原、水の流れを遡れば、豊かな「山のまち」だと感じさせてくれます。
身体に血がめぐるように、大地を川がめぐる。血液がめぐり身体があたたかくなるように、水がめぐり大地に花が咲く。清流は様々な野生動物たちの命の源となり、豊かな植生と恵を育む。伊吹山の雪解け水で清らかに生成される冷たく澄んだ姉川、霊仙山から染み出す水が形成する天野川、梅花藻が涼しく川面を揺らす地蔵川。どこを切りとっても、澄みわたる川を讃える米原。ケモノも野草もヒトも、川から混じりっけのない営みを与えてもらっています。
湖に夕日色の絵の具が溶けて、今日の続きを描くまち。縄文の人々も共に暮らした「琵琶湖」。上流から下流へ、太古より「水を汚さない文化」を脈々と伝えるまちの象徴である湖。北陸・東海・近畿を結ぶ、湖上交通の要衡として栄えた古代浪漫の湊。時が移り変わっても、母なる湖は私たちに潤いと喜びを与えてくれる。
息づく 野生。
米原市の無垢の山には、環境省レッドリストに入るイヌワシや、特別天然記念物のニホンカモシカなどをはじめ、多様な野生動物が生息しています。麓には、キツネ、タヌキ、イノシシ、シカなど馴染みのある動物のほか、テン、アナグマ、ニホンザルなどが息づき、深い山奥にはツキノワグマが生息しています。
伊吹山の地理、気候、地質が生みだす豊かな植生は滋賀県内随一と言われ、長い年月をかけ独自の植生を育んできました。好石灰岩植物や北方系植物、日本海側に分布する植物など多種多様の植生がみられ、その数は約1,300種。コイブキアザミ、イブキコゴメグサなど、イブキと名のつく特産種も生育しています。国の天然記念物に指定される伊吹山山頂の花畑には、春から秋にかけ色とりどりの美しい山野草が咲き乱れます。
自然が もたらす 特産物。
日本そば栽培の発祥の地ともいわれる「伊吹」でとれたそば粉を使い、添加物は一切使用せず伊吹山麓の霊水を使用した、本格そばです。伊吹そばの香り高い風味を、伊吹大根おろしの独特の辛みが引き立てます。
滋賀県最高峰の伊吹山、その麓に広がる米原は、冬の間に栄養分をたっぷり蓄えた雪解け水と肥沃な土壌に恵まれ、昔から良質な米が育つ地として知られています。また、収穫前には昼夜の気温差を受けて一層甘みが増すとされ、米原の米は「さめてもおいしい」と人気。蛍の里のお米として全国にファンがいます。
ビワマスは琵琶湖固有種で、淡水魚の中で最も美味しいと言われ、「琵琶湖の宝石」とも呼ばれるほど、食材として価値が非常に高い魚です。しかし、漁獲量が少ないことなどから、これまで市場に出回ることはほどんどありませんでした。しかし、平成24 年に米原市内の醒井養鱒場で、養殖ビワマスが実用化され、市内でもビワマスが食べられるようになりました。
滋賀県醒井養鱒場は、明治11年にビワマスの増殖を目的に設立された施設で、霊仙山麓の鍾乳洞から湧き出る湧水を使ってニジマスやビワマスを養殖しています。ビワマスは非常に繊細な魚で、養殖には不向きとされてきましたが、設立から136年の歳月をかけてようやく養殖に成功しました。養殖マスのふるさとである醒井養鱒場で飼育された”森のビワマス”を是非一度味わってください。